「これからは個の時代だ」

なんて話を皆さんも聞いたことがあるのではないでしょうか。今回はその意味を少し深掘りしてみようと思います。

これからの進路やキャリアについて考えている方にお役に立てれば幸いです。

まず結論として、私が考える個の時代というのは、なにも独立して好きなことで稼ごうというような安易なことではありません。

人は1日に何万回もの質問を自分自身にしていて、答えとなる選択を無意識で行なっていると言われていますが、その質問は「朝起きてすぐ顔を洗うのか二度寝をするのか」というように小さなものから、時には何ヶ月も何年も答えが出ずに悩むような大きなものもありますよね。

個の時代というのは、まさにその「大きな問い」が知らず知らずの内に目の前に現れてきたことであり、その答えを見つけることこそが個の時代をハックする唯一の方法だと思っています。

ではその大きな問いについて考えてみます。

個の時代と言われるようになった背景

一般的には以下のような時代の変化から個人に対して焦点があてられるようになったと考えられます。

・ジョブシフトという言葉に代表されるように、価値観の多様化した社会では画一的な仕組みよりも個々人の特性や能力に応じて物事を進めた方が効率的であること

・大手企業安定神話が崩壊し、一度就職した企業に定年まで勤められるというこれまでの常識が通用しなくなってきたこと

・デジタル化に伴い必要となる人材や能力が変化してきたこと

・生き方そのものが多様化し、選択の幅が広がってきたこと

etc

上にあげたものはほんの一例だと思いますが、まさに激動の時代という中でこれまでの当たり前が通用しなくなると同時に、個人が自分のスキルで活躍できるチャンスが増えてきたという見方もできます。

個の時代を生き抜くために大切なこと

前述の流れで見ると、昔と比べて選択肢が広がりより自由な社会になってきたようにも思えます。「良い大学を卒業したら良い就職先が待っている」というこれまであったある種の信仰をよそに、つい先日まで何者でもなかった凡人がYoutubeであっという間に億を稼ぎだした、といった話はもはや遠い世界の出来事ではなく、自分もそうなれるのではと夢見る人も多いのではないでしょうか。現に副業を始めたり起業を志す人は年々増加しています。

しかし、ここで一度立ち止まって考えたいことがあります。それは、「自分はどう生きたいか」ということです。選択肢が多いということは、それだけ迷い、自分が何を選び生きていくのかという判断をしていく必要があります。

例えば結婚の歴史をみてみると、1970年以前の日本では親や親族が相手を決めてきたり、お見合いという形で結婚を決める文化が主流だったようです。それに比べて1970年代以降は今のようないわゆる恋愛結婚という形が主流になり、最近ではAIが理想のパートナーを次々と紹介してくれるマッチングアプリなんかも登場していますね。選択肢という尺度で考えてみると、当たり前ですが今の方が多様化していることがわかります。逆を言えば、昔はそこまで自分で判断する必要はなかったのかもしれません。このように選択肢が増えることで、「この人と結婚すべきかどうか」「もっと良い人がいるのではないか」など、様々なことに悩み、自分で考え選択していく必要があります。

しかしながら、現代人の多くはその判断を他人に任せていることが少なくないということは、なんとなく想像がつくのではないでしょうか。

「あの人のことどう思う?」「親が聞いたらどう思うかな…」「転職しようか悩んでるけどどう思う?」といった話をよく聞きますが、他人の顔色や評価を気にして自分自身の心の声や価値観を無視してしまうということがあると思います。それを繰り返していく内に、「結局自分はどうしたいんだっけ?」という自我の迷子状態になってしまうのです。

また、「お金」や「幸せ」などについても、本来人それぞれ価値観が違うはずです。「インターネットの中にいる誰か」の成功を目にして羨ましい気持ちになったとしても、仮にあなたが同じように成功したとして幸せを感じるかどうかはわかりません。

このように、選択肢の多い現代だからこそ有り余る情報に惑わされずに、確たる自分の意志を持つことが非常に大切だと思うのです。

 

「自分はどう生きたいか」そのたった1つの問いに答えることが個の時代をハックする唯一の方法であり、選択に迷った時は一度足を止めて自分の内なる声に耳を傾けてみることが大切だと思います。

そんな私もまだまだ道半ば、「海賊王に俺はなる!」くらいにバシッと言いたいものですが、もしかしたら人生というのは一生をかけてその答えを見つけていくものなのかもしれません。

いずれにしても、逃げずにきちんと自分と向き合いながら一歩ずつ進んでいきたいですね。