以前書かせていただいた「創造性のつくり方」の記事で、起業家精神を身に付ける最初の重要なことは「好奇心・興味・関心」を持つことだと紹介しました。
今回は、じゃあそもそも、その「好奇心・興味・関心」を身に付けるにはどうすればいいの?ということについて、書いていきたいと思います。

ただ、これは一個人の考えなのでこんな考え方もあるんだなと、一つの意見として頭の片隅にでも入れてもらえればと思います。

好奇心・興味・関心を失うとき

最初に高める方法ではなく、逆に失うときについて考えてみます。(ちなみに、この逆の場合を考えるのは色々なことに活用できます。)
どんなときに、人は好奇心・興味・関心がなくなっていくのでしょうか。よく言われるのは「強制」させることで興味などを失わせることですが、今回は別の視点で考えてみましょう。

皆さんは、ダニング=クルーガー効果という言葉を聞いたことありますか?
次の画像を見たことがある人はもしかしたらいるかもしれません。

【参考:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Dunning-Kruger-Effect-en.png】

これは、横軸が知識・経験の量で、縦軸が自信の度合いを表していて、簡単に言うと知識・経験が少ない素人ほど自分は分かっていると自信を持っていて、専門家ほど、謙虚であることを示しています。(本来のダニング=クルーガー効果とは少し違いますが。。)
ちなみに、左から順に「バカの山」、「絶望の谷」、「啓蒙の坂」「継続の台地」と呼ばれています。なかなかパンチのある名称ですよね。
皆さんも何かを調べた時に完全に理解した!と思ったのもつかの間、新しく分からないことがたくさん出てきてやっぱりわからん。。。と、こんな経験したことないでしょうか?
余談ですが、自分は大学の研究で何度も完全に理解した!からの全然わからん。。。を何度も経験してきました。

ダニング=クルーガー効果は、“知識・経験-自信の度合い”の変化を表しますが、これは“知識・経験-好奇心・興味・関心”に置き換えても同様なことが言えると思います。
つまり、最初のうちは知識量が増えていくことで、そのことについての自信が高まる。自信が高まって自分はできる、知っていると思うので、もっとやってみたい、知りたいと好奇心・興味・関心がどんどん高まっていく、という好循環が生まれます。しかし、ある境をきっかけに絶望の谷へ落ちていきます。自分は何も知らなかったんだ、分からないことがたくさん出てきた。何をやってもうまくいかない。自信も失い、自信がなくなったからそれについての好奇心・興味・関心も一緒に下がっていく、という悪循環となります。

例を挙げると
サッカーの試合などを見て、面白そうだなと興味を持つ
→実際にサッカーを始めて練習をする
→最初は簡単なことばかりを習うのですぐ習得でき自信もつき、もっと練習をしたい!と思う
→練習をすればするほど(経験値が増えるほど)自分よりうまい人や難しい技術などが増えていき自信を無くす
→練習がたのしくないと思うようになる

海外ドラマなどで英語に興味を持つ
→英語を知りたい!と勉強を始める
→最初は簡単な単語や文法なので覚えて読めるようになり、もっと知りたい勉強したいと自信もつき、好奇心・興味・関心も高まる
→次第に複雑な構文や単語が増えて難しくなり、分からないことが多くなるので自信も下がる
→勉強がいやになってくる。

このように、最初はいいけど出来るように、分かるようになればなるほど難しいこと、分からないことが増えてきて、最終的にやらなくなる、というのはよく起こる事です。
ですので、このようなことが起こるのはしょうがないことかもしれません。しかし、何度も同じように最初できたけどすぐできなくなることを繰り返していると、それが当たり前になりどうせやっても無理なんだから、と何かに興味を持ったとしても最初からあきらめて行動をしなくなる。それがさらに続くと、周りに興味すら持たなくなること、これが一番恐ろしいことです。
実際にストレスに対してですが学習性無力感といって、どうやってもうまくいかない場合、どうせやっても無理だし、と行動をあきらめてしまうことが、心理学の研究で分かっています。

「学習性無力感」とは、米国の心理学者マーティン・セリグマンが1967年に発表した概念で、抵抗することも回避することも困難なストレスに長期間さらされ続けると、そうした不快な状況下から逃れようとする自発的な行動すら起こらなくなる現象をいいます。セリグマンたちは犬を用いた実験によって、「自分が何をしても状況は変わらない」という思い=無力感が体験から学習されるものであることを発見しました。「学習性絶望感」や「学習性無気力」とも呼ばれ、一種の抑うつ状態や学業不振にいたるメカニズムの一つとしても注目されています。
(コトバンクより抜粋)

つまり、好奇心・興味・関心を高める(どちらかといえば維持)するには、この「絶望の谷」に落ちた時にどう対応すればいいのか。

この続きはまた次回書きたいと思います。